ライオンキング実写版
レビュー
超実写版ライオンキングを
見てきましたので、
感想を書きます。
厳密には
実写ではなく、
『実写レベルに描かれた』
作品なわけですが、
超実写版と呼ばれている
そうですね。
今回は、
原作アニメ版との
対比と超実写版と
よばれていることから、
以下実写版という表現に
させて頂きます。
・超実写版ライオンキングの
パンフレット
についても言及させて
頂きますので、
ご興味ある方は最後まで
読んでみて下さい!
まず、
原作アニメ映画の
ライオンキングについて。
原作アニメの
ライオンキングは
ライオンやアフリカの動物を
象徴化させた物語だと思います。
つまり、
本当のライオンの生態が
どうというよりは
ライオンは王の象徴であり、
プライドランドの他の動物は
民であり、ハイエナ達は悪の象徴であり、
プンバァやティモンは道化
(愚者、反権力、ヒッピーととらえても
いいかもしれない。その日暮らし的
生き方)の
象徴でもあります。
抽象的な演出だったが故に、
世界中の人々に受けいれられ、
劇団四季でも長く演じられる
題材となったのだと思います。
ライオンやハイエナの
向こうに、子供が王になる過程や
王子が下層で暮らす、
ロードオブザリングでも
アラゴルンが辿るような
神話的な物語を
読み取ることが出来るのでは
ないでしょうか。
神話的な文脈が云々というよりは、
直感的、感覚的に
伝わるということなのですが、
そこには、
やはり動物達の
象徴化、抽象化という
要素が重要に思えてなりません。
だから、
劇団四季の
『人の姿をしたライオン』を見ても
違和感無く物語を見れるのだと
思います。
その意味では
原作アニメと
劇団四季ライオンキングは
同質のものであると
捉えています。
象徴に特化した
物語である。と。
故に、各所の演出、
愛を感じての場面や、
シンバとムファサ雲の
やりとり、その他の
多くのシーンが
幻想的、楽しげであり
美しくあり、神秘的でも
あるのではないでしょうか。
では、
実写ライオンキングは?
超実写版
ライオンキングについて
上記の二つの
ライオンキングとは
対局にある作品だと
感じました。
上記にしめした、
象徴性、抽象性、
神秘性、幻想性が、
その対局である
リアル。
として
表現されたライオンキング。
だと思いました。
そのリアルさを
楽しめるか、
好きか、よしとするか。
というのが、
この作品を鑑賞する
ポイントだと思います。
幻想的や神秘的の対局にある
・物理的
象徴や抽象的動物の対局にある
・生態的
このリアルさが、
好き嫌いを分けるかも
しれないと思いました。
以外と細かい
変更点が多い
ラフィキについての様々な演出、
スカーとサラビの演出など、
また、細い変更点は
多数あります。
とくに、
ハイエナのキャラクター設定は
かなり変更されており、
三匹の性格の変更もですが、
スカーとのパワーバランスも
変更されていると思います。
原作アニメは
スカー>ハイエナ
というイメージ。
あくまでスカーの手下の雑魚達で、
頭であるスカーを失えば
プライドランドを
制圧することは出来ない イメージ。
今回の実写版ライオンキングは
スカーとハイエナのパワーバランスが
同等くらいに感じました。
つまり、
悪役のボスが 二頭いる
印象を個人的には受けました。
ライオンキング
実写版の
良かったところ
リアル動物の
迫力。
やはり、
実写に近い描写故の迫力は
凄かったです。
ハイエナの恐ろしさや
禍々しさは
実写ならではの
強みだと思えました。
リアルプンバァと
リアルティモンの
楽しさ。
プンバァとティモンの
細い掛け合いは、
コメディ的な明るい映画が
得意なジョン・ファブロー監督故か、
とても楽しめました。
動物のコミカルさが、
コメディ演出の良さと
相まって、思わず笑顔に
なれます。
プンバァと
ティモンの
暮らすコミュニティの
追加動物達の
楽しさ。
このシーンには、
かなり動物達が
追加されていましたが、
個々の動物のよさが
しっかりと描かれていて、
なおかつ笑えました。
個人的には
ツチブタがなんか好き。
動物のもしろさは
動物バラエティ番組のような
コミカルさで、
動物そのものの
動きが面白いというのは、
トイストーリーの
おもちゃの構造と制約が
コミカルな動きを
表現しているみたいに、
その生物固有の特徴は
それだけで面白いのだと
再確認出来ました。
サークルオブライフの
対局の思想が示される。
サークル=円
の対局の考え方として、
線=ライン
という表現が
なされていました。
全ては繋がっている
故に役割や伝統、継承がある
というサークルオブライフの
テーマに対して、
刹那的、その日暮らし、
人生に意味無い!といった内容の
対極の思想が表現されています。
この思想、
ある種の哲学を持つことすら
プンバァ達の
コミュニティには
あるのだろうか
とも思いました。
言語化しすぎて
いるかも。。。
また、
思想を二つ
対極の構造で出す、
かつ主人公のテーマが
サークルオブライフなので、
そうではない思想は
間違っている。
というニュアンスに
ならないだろうか。とも
思いました。
思想に思想を
ぶつける表現は
なかなか
難しいなと。
とはいえ、
それらを考えるきっかけ
になったと思います。
原作アニメでは
対極の思想に
触れていないぶん、
シンプルにサークルオブライフの
思想がすんなり入ってくると言いますか、
シンバがドロップアウトし、
王座に帰還する。
それは代々受け継がれてきたこと
だよ。君にはその役目があり、
それが本当の自分だよ。
という物語が真っ直ぐに
入って来た印象です。
また、ハクナマタタという
メッセージも
楽しげな印象、
元気が無い時に
励まされるような
軽い印象として機能していた
ように思えます。
実写ライオンキング
サークルオブライフ
VSハクナマタタ
原作アニメ
サークルオブライフ
とハクナマタタが
喧嘩せずに共存。
といったニュアンスに
受け取れました。
元気が無い時は
無理せずハクナマタタ。
しかし、使命や役目も
大切だよね。という
バランスを原作アニメからは
感じます。
実写版はサークルオブライフを
際立たせる。という演出としては
良かったのかもしれません。
アニメとの
対比が出来た。
上記のように、
本作を鑑賞することで、
逆に原作アニメの
素晴らしさを
再確認できました。
キャラ、物語、
演出、テーマ、テンポに
全く無駄が無い。
奇跡的なバランスで
成り立っているのだなと
改めて思えました。
実写ライオンキングは
原作と比較出来るという
時点で、卓越した
作品であると思います。
ただ、
このどこまでも
実写に近づいたアニメというのは、
もはやアニメなのだろうか。
とも感じました。
今後は揺り戻しが起こり、
ピクサー的な
3DCGのリアルさを
追究する方向ではない
アニメの描かれ方も
改めて注目されるのでは?
と感じました。
監督の前作、
ジャングルブック含め、
ある種のリアル路線の
到達点のように
感じます。
ピクサー黎明期であれば、
CGの絵がどこまで
リアルに描けるかという、
絵がリアルにどんどん近くことが
エンタメとして
機能していた気もしますが、
『何でも再現出来る。』
となれば、次は
リアルではない方向での
アイディアの斬新さが
追究されていくのではないかと
思っています。
ライオンキング実写版の
パンフレットが良い!!
超実写版ライオンキングの
パンフレットは
個人的には良かったです。
アートオブシリーズ
まではいかないまでも、
コンセプトアートが
充実しておりました。
リアル路線の絵が
ライオンキングの
世界で表現されているので、
見ていてワクワクしますし、
美しいです。
買って損は無いと思いました。
表紙もgood!
ライオンキング実写の
パンフはホントに
おススメです。
アートオブシリーズも
おススメ
アートオブシリーズは
基本的にどれもおススメ。
メリダ、モアナ、ズートピア、
ウォーリーなどなど
ピクサー、ディズニー共に
goodです!
以上!超実写版ライオンイング感想でした!
ライオンキング
超実写版まとめ
・リアル、写実の追求の先には
象徴としてのアニメを
浮き彫りにする効果がある。
・写実、ディフォルメ
それぞれに良さがある。
・包括、対立。
言語化をすることで
ある種の線引きが起こる。
そこからテーマをはっきり
させる効果と、対立、排他的な
要素を汲み取ることもできる。